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SAJ(スポーツアナリティクスジャパン)2015に行ってきました。

2015/12/19(土)に開催されたSAJ2015 -スポーツアナリティクスジャパン2015-に行ってきました。スポーツ自体は小学生の頃から見ているので興味がありますし、仕事ではWebサイトの分析をしているのでこれはちょうど良いという安易な考えです。

全てのセッションが面白かったのですが中でもラグビー日本代表のアナリストである中島正太さんのお話しと、野球のデータ分析についてお話しされた山本一郎のセッションが特に面白かったですね。

■エディージャパンは明確なプランがあった

Webサイトの分析ってGoogle アナリティクスが入っているから分析したら何かいいことあるでしょ?的なところがあって、これが色々なことをややこしくしているのですが、エディージャパンは当然そんなことはなくて2015年に向けたプランがあって、それに対して必要なデータが明確になっていました。

「Beat the BOKs(打倒南アフリカ)」という明確なゴールとそれを達成するためのプランが作られていて、それを細分化して各コーチが現場に落とし込んでいって、選手がそれを実行する。そして、これらの全てについて達成目標があって数値での評価基準もある。データを分析する側はここが分かっているので何の迷いもなくデータを集めることができるし、データ収集の方法もいろいろ工夫ができる。

倒されてから起き上がるまで(リロード)が3秒以内とか、五郎丸のキックは85%決めないといけないとか、皆さんもご存知の数字もありましたしとにかく選手が練習でやることに関しては数値目標があります。この練習は○○対策のために××というスキルを伸ばしていてそれは△△という数値を達成すれば良いとなっていますので、スタッフ全員が同じ意識を共有できるんでしょうね。

また、プレーブックと言われる教科書の存在も大きかったようです。プレーブックは多くのスポーツで作られていると思いますが、エディージャパンではこれがどんどんアップデートされていくのがスゴイ。選手にはタブレットが配布されているので直されたらすぐにそれが反映されますし、練習の前に対象のプレーを告知しておけば予習もできるし、新たに代表に招集された人もすぐに練習についていける。Web業界で言えば社内wikiのようなものなんですが、そのレベルに圧倒的な差があるのを感じました。

何事もデータを取るからには明確な目的がないけませんし、これがないとデータを集める側も何をしたらいいのかが分かりません。当たり前ことなんですがここの大切さを改めて認識しました。

ラグビー日本代表の方々にしてみれば普通にやっていることでもWebサイトとなると何故か難しいのが不思議です・・・。

ドローンを使って撮影した映像の分析など技術面でも気になることは多かったももの、目標達成のための組織作り・アクション・フィードバックの面がとても参考になったセッションでした。

懇親会で中島さんにアナリストにはどうやってなったのか?を聞いてみたところ、大学時代からラグビーの分析をやっていてそこからキャリアが始まったそうです。アナリストを目指して大学に進学するのもいいな~と思ったんですが、いかんせん40歳を超えているので無理ですね(笑)。

こういった職業があるということをもっともっとアピールして、この分野を目指す人が増えていくようになってほしいものです。

■野球の分析は進化しすぎている

野球のデータ分析といえばsaber matrixというおなじみの分析があるんですがこれは過去の話で、今では映像を使った動画分析がメインになっているとのこと。

saber matrixでそこそこ勝敗は読めるようになってきていて、あとはいかにしてそれを実行するのかというのが問題。実行するには選手の健康状態に依存するので映像の数値からその選手の健康状態を把握して、その数値が悪くなった時にどこに問題があるかを特定するのがアナリストの仕事にもなっているようです。チームの編成はsaber matrixに基づいて作られていて、それは先週がケガだったり他の原因でスランプになるとその通りにならないので、100%数値通りに働ける状態にしておくのが仕事というのは驚きです。

例えばスイングスピードが落ちたという数値が出てきて、映像から腕の角度が変わっていることが分かって、それは腕のどの部位のどの怪我なのかまで調べるということです。

ここまで来るとこの次はDNA分析なんじゃなかろうかと思ってしまいます。

いずれにせよ他のスポーツでもこういった流れになるでしょうから、野球のように進化しているスポーツの分析を参考にするのが良いかも知れません。

■より高度に難しくなって、よりシンプルに分かりやすくなると思う

進化に関しては野球を見ればわかるようにどんどん高度になっていくことは分かります。

こうなっていくと学校の部活であったり少年野球チームなどは分析は手が届かなくなるんじゃないかと思われますが、どんなスポーツも育成が重要なのは間違いないので、育成しやすいような分かりやすい分析が普及するんじゃないかと思います。サッカーだったり野球だったりバスケだったり競技人口の多いスポーツで協会組織もしっかりしているところが着手するんじゃないかなと思います(してるのかも)。

書店に行けば元プロ選手が書いたマニュアル本がありますが、それはそれとして誰もが読むべき教科書が選手・コーチの両方に用意されるようになると思いますし、ならないとそのスポーツの強化にならないように思います。で、これが電子書籍になっていて随時アップデートされていけばかなりレベルが上がっていきますよね。

話しはちょっとそれて、Webサイトの分析ってどんどん難しくなっていってしまっていますが、やっぱりシンプルな基本があってそこから応用に進んでいかないと変な方向に進化して、ガラパゴス化して最終的に無くなってしまうんじゃないかと思います。人工知能でカバーできそうなものですし。

今後もこういったイベントは開催されるようなので積極的に参加しようと思います。

やっぱり他の世界と接すると基本と応用がよく分かりますね。