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社会に出て役立つパソコンの知識ってどういったものだろうか?

大学の授業で初回にアンケートを取ってどんなことを学びたいですか?と聞くと多いのがこの回答。

「社会に出て役立つパソコンの知識」

です。

パソコンの授業でワードやエクセルの操作は習ったけど・・・、とか働き出すとパソコンが使えないといけないので・・・、というのが主な理由。

2年前にこんな記事を書きましたがスマホばかり使っているのでどんどんPCが使えなくなっているんですよね。
PCがあってもスマホで検索する人たち

学生さんたちは社会に出るための準備として真面目にパソコンの勉強をしようとしているけど、教える側は何を教えればいいのかと悩むわけです。日常的に使っているので何が知りたいのかが分からないからです。日本語を教えてくれと言われても難しいのと同じ。

で、授業でやっているのはこんな内容

■「アンケート結果からわかる受講生の傾向」をワード形式で報告してもらう

上に書いた初回のアンケート結果ですね。
学びたいこと以外にも受講動機や利用デバイスなどを聞いていますので報告する内容は盛りだくさん。

ここではワードで報告書を作る際の基本的な形式と見やすさと文章の内容を見ます。タイトルがないとか日付がないとか設問が書かれていないなどの基本的な部分。強調したい部分に太字や下線があるか、見出しは文字サイスが大きくなっているか、などの見やすさの部分。書いていることが感想になっていないか、見ればわかることだけを書いていないかなどの内容の部分です。

始めてこういったことをする時って基本的な形式に気づかずに内容を気にしがちですが、まずは読む人が読みやすいように書かれていることが大切ですよね。何十枚とレポートを読む立場になると見づらいというだけで減点したくなりますので(笑)。また、働き出しても意味が分からないものは読んでもらえないこともあります。

提出してもらったものを実際にいつくかを修正したり、良いものを説明してもう1回作成してもらうとなかなかそれらしいものができるようになります。

■同じ内容でパワーポイントのスライドを作ってもらう

全く同じ内容でワードではなくてパワーポイントでスライドを作ってもらいます。

これをやってもらうと最初はそのまんまコピペされたものがほとんどなんですが、パワーポイントの場合は読んでもらうものではなくて見てもらうこと場合が多いので、見てもらうことを意識しましょうと話します。元の文章は同じで見せ方が変わる時にどうするのか?を知ってほしいことと、基本的な文章がしっかり書けていればワードでもパワーポイントでも見せ方だけを変えれば問題ないことを知ってもらうためです。

PCスキルを身につけるのではなくて言いたいことを表現するための手段を学ぶことが社会に出て役立つパソコンの知識だと思いますので。

こちらもまずは作ってもらってできなかったことを挙げてもらって次回の授業で説明。操作は動画にして残しておきますので何度でも見ることができます。

パワーポイントの使い方をダラッと教えるよりは分からないことを解消してから、基本的な操作法の重要性に気づいてもらうと学習しやすいですよね。

で、いきなり見やすいものを作れと言っても難しいのでSlideShareで探す方法や活用事例を話すわけです。ちなみにパワーポイント活用事例で見てもらったのはコレ。プレゼンの内容といいスライドの内容といいとっても分かりやすいですよね。さすが社会人兼レスラー。

■相互評価&自分との差を知ってもらう

別の課題でパワーポイントのスライドを作ってもらいます。

その後、相互評価をして、良いと思った理由・もっと良くするために工夫する点・真似したい点、を書いてもらいます。他の人のやっていることを上手に真似ることと評論家にならないようにするためです。自分だけの経験ではなくて他人の経験も真似することで得られますし、自分だったらどうするのか?を考えてもらうと評論家にはならないですし良い意見が言えるようになりますので。

それだけでは終わらずに、課題として良いと思ったスライドと自分のスライド差・良いスライドを作った人と自分との差・その差を縮めるために何をするのか、を考えてもらいます。良いものを作るまでの距離と行き方を考えてもらうわけです。

そして、次の課題で差を縮めるためにやることをやったのか?できたのか?を確認します。言うだけなら誰でもできますが実行するのが難しいですからね。

こうすることでPDCAを自然と意識しながらPCのスキルが身につくかなと。

■考え方が分かれば急激に伸びる

半年の授業の前半でこういったことをやって、後半は制作をメインにしていくとこちらが想像もしなかった作品が出てくることがあります。

聞いてみると自分で作ってから家族や友達に見てもらって何度も修正したとか、○○というサイトで画像の作り方を勉強したとか、こちらが何もしなくても勝手に進んでいることが多いです。考え方が分かった時の学生(というか若い人)の速度ってものすごく早いです。こちらがやることは疑問点の解消だったり、より良くするためにちょっとアドバイスするぐらい。やっている人って疑問点が具体的なのでこちらも対応しやすいのがいいところです。

こうしてPC操作だけをできるだけ教えずに「社会に出て役立つパソコンの知識」を身につけてもらおうとしております。

毎週学生の反応が予想できないので準備が大変ではありますが(苦笑)。