「正解がわからない」不安から自走へ。マーケ担当不在の組織が1年半で手に入れた「判断の軸」

「何が正解かわからない。でも、何かをしなければならない」 Webマーケティングの担当者なら、一度はそんな孤独な不安に襲われたことがあるはずです。
今回お話を伺ったのは、大企業からベンチャー企業への「レンタル移籍」を提供する株式会社ローンディールさん。同社にはWebマーケティングを専門とするプロはいませんでした。数万件の顧客リスト、XなどのSNSの運用、サイトの改善……。やるべきことは山積みでも、どこから手をつけて、どう判断すればいいのか。その「軸」がないことが、組織の大きな課題。
そこに「運営堂」の森野が加わってから1年半。
ローンディールの皆さんは「自分たちで仮説を立て、施策を回せる」状態へと劇的な変化を遂げています。
単なる「コンサル」でも「外注」でもない。運営堂はどのように組織に入り込み、メンバーの視座を引き上げていったのか。島さん、黒木さん、管井さんの3名に、伴走のリアルな裏側を語っていただきました。
聞き手:運営堂 森野
執筆:田中なおさん
ローンディールさんはこんな会社です
森野:最初にローンディールさんの事業について教えていただけますか?
島:「越境」をコンセプトに、人材育成・イノベーション創出・キャリア自律など、企業の人事課題に応じた複数の事業を展開しています。創業事業である「レンタル移籍」は、大企業社員が自社に所属したまま一定期間ベンチャー企業に参画し、事業開発などに取り組むものです。これまで150社1000人以上に越境機会を提供しています。
「何から手をつければいいか分からない」不安からのスタート
森野:
ローンディールさんのWebマーケティング支援を始めて約1年半が経ちました。初めの頃は、私に対してどんな印象を持ちましたか?
島:
アドバイザーの森野さん、という見え方だったかもしれません。計画を立てて施策に着手していくというより、手をつけていなかった施策を実行するときや、今までの施策をチューニングするときに相談していましたね。
森野:
いきなり大々的に「Webマーケ全体」を支援というより、点から始まりましたよね。

島:
そうですね。細かい困りごとをピンポイントで相談していた記憶があります。当時の私はIT領域の仕事を担当していて、マーケティングのマネジメント全般を引き継いだタイミングでした。「マーケ」と言われても、何から手をつけてどうやればいいのかわからない。不安しかありませんでした。
そんな状況で支援が始まり、森野さんに答え合わせをしてもらえる安心感がありました。例えば、全体像を掴むために構造図やフローを書いて壁打ちしたことで、判断に迷って手が止まる時間がなくなるなど、この時はすごく頼りにしていましたね。
黒木:
「俺がやってきたやり方は間違ってなかった、よかった〜」って、島さん、嬉しそうによく言ってましたね。社内にマーケ関係のプロがいないので、困ったら森野さんに聞ける安心感は大きいです。
「こんなこと聞いていいの?」から始まった、伴走型支援の正体
森野:
反対に遠慮して聞けなかったことはありましたか?
島:
最初は「レベルの高い質問をしなきゃ」と身構えていましたが、実はすごく話しやすくて(笑)。本来、森野さんはガチガチのコンサルタントで、我々に合わせてくれているのかも、と勝手な先入観がありました。
黒木:
自分にマーケの知識がないだけに、森野さんの守備範囲が判断できない部分はありましたね。でも質問してみると必ず回答がくるので、「聞いてみて良かった」と思います。
島:
マーケって線引きが難しいよね。SEO、SNS、記事制作、顧客管理と、いろんな領域があるじゃないですか。その点、一旦、森野さんに聞いてみようって感覚はあります。「ノー」と言われたことはないし。
管井:
すぐに回答がむずかしい質問にも、後から情報提供をしてくださったり、人を紹介してくれたりしますよね。
私は、島さんや黒木さんより後から森野さんとのミーティングに参加し始めたのですが、GA4の使い方からメール文面の「てにをは」まで質問しているので、「一体これはなんの時間だろう?」と思いました(笑)。それくらい関係性ができている段階だったので、何も遠慮せずに質問できました。
「一般論」ではない。自社の「中身」を理解しているからこその信頼感
森野:
なるほど。ちなみに皆さんが私の回答を信頼してくれるのは、なぜですか?
島:
森野さんは、問いに対しての返事がとにかく早いんですよね。それは普段からGA4とかSNSの動きも含めて、「中身」をリアルタイムで把握してくれているからだと思います。客観的な事実をベースに話してくれるから、スッと信じちゃう。
管井:
それに加えて、森野さんご自身がメルマガ(『毎日堂』)やX発信の実践者であることが大きいです。単なる知識ではなく、ご自身で手を動かしているからこその、時流に合わせたアドバイスをしてもらえるので本当に助かっています。
黒木:
確かに。「一般的にはこうです」という教科書通りのコンサルティングじゃないですよね。ローンディールの今の状況と世の中の時流、その両方を前提に話してくれるから、迷っているときに「1球目から150キロ」の剛速球が返ってくるような安定感がありますよね。
島:
そうそう。普通、外注先の方って、自分の専門領域の情報は持っていても、僕らクライアントの動向はミーティングの場でキャッチアップすることが多いと思うんです。でも森野さんの場合は、僕らのブログや過去の経緯まで全部目を通してくれている。「個別化」の精度がものすごいんです。
森野:
情報収集癖がありますからね(笑)。なので、クライアントの皆さんが今どんな動きをしているかは、常に把握しておきたいと思っているんです。ブログも過去のものまで読みますし、会社が今どの方向を向いているか、なんとなく肌感覚で分かっている状態でお話ししたいですから。。
ローンディールさんは公式サイトの事例やリリース、noteでの現場の話、イベントなど盛りだくさんなので、追いかけているほうも楽しいんですよね。
島:
「中を把握してくれている人」と会話ができる安心感は、他にはないものですね。
放置されていた数万件の顧客リストが動き出す
森野:
1年半経って、どんな変化を感じますか?
島:
当時はピンポイントで質問していたけれど、今は大きい絵を描きながら「森野さんなら、この局面どう考える?」みたいな議論が増えたと感じています。優先順位を付けられるようになったし、森野さんに俯瞰してみてもらえるようになりました。
黒木:
例えば、「HubSpotに蓄積してきた数万件のリストをどう活用するか」という議題があがったときのことです。大型セミナーを開催するにあたって、ウェブ広告やイベント告知、フォロー体制を検討する流れで、触ったこともないのに気づいたら私がHubSpotの担当になってしまって。「森野さん助けて〜」って感じでした。

島:
この議論が出るまでは、イベントのたびに何百件とか何千件ものリストを手で整備する運用で、マンパワーが必要でした。集客のセミナーで同業者が混ざるのは絶対避けたいし、逆に呼びたい人を取りこぼすのも避けたい。でも当時は、そのコントロールが難しくて……。
結局、「メールを送るべき人に送る/送っちゃダメな人には送らない/今じゃない人は外す」っていう線引きができていなかったんです。そこでフローを描いて可視化したのですが、我々には整合性が取れているかどうか判断できなかったので森野さんに相談しました。
そのときに「このリストはない?」「ここでメールを送らなかった人に対しては次にどんなアクションを取る?」と、プラスの提案を議論にのせてくれたことが印象に残っています。大局的な視点で足りない部分を補ってもらって、人手がかかっていた作業から一段レベルアップできた。成果のひとつですね。
森野:
質問の内容が少しずつ変わってきましたよね。
黒木:
それこそ最初は、メールの文面や送信するタイミング、セミナーの申込フォームのような細かい相談をしていましたよね。具体の相談を繰り返すうちに自分たちでも勘所が掴めてきて、広い視野で相談できるようになってきた感覚があります。
島:
最終的には自分たちで自走できるように、血肉にしていかなければなりません。だから、場当たり的にわからないことを聞き続けるのも違う気がして。仮説を立てて、森野さんに聞いてみるやり方を意識しています。
「フォロワー減は気にしなくていい」言葉が支えたSNS運用の自走
森野:
管井さんは、何か変化を感じていますか?
管井:
私がSNS運用の相談を始めてから8ヶ月が経ちますが、フォロワーさんが毎月着実に増え、コミュニケーションが取れる相手も増えてきました。当初はXとFacebookの担当を任されたタイミングで、BtoBビジネスの企業アカウントとして誰に・何を発信すればいいか軸が定まらず、投稿内容に悩んでいたんです。
そんなときに森野さんに相談したところ、投稿の内容とかリポストの基準、いいねするかしないかとか、具体的なアドバイスをいただけたので、あとは愚直に実行するだけでした。「フォロワーが減ることは気にしなくていい」とおっしゃってくださったことは、今でも心の支えになっています。

森野:
最初は会社アカウントって何をすればいいの?という感じでしたもんね。
管井:
そうですね。最近は、相手の投稿に対してこちらから臆せず返信して、会話できるようになってきて、ベンチャーや人事関係の方との繋がりができました。
森野:
ローンディールの皆さんの個人アカウントも、発信が増えた感じがします。
管井:
そうなんですよ。公式アカウントの運用が安定して、発信の空気ができたことで、社員個人の発信ハードルも下がった気がします。
島:
前はXを開きもしなかったんですけど(笑)。今は管井さんがSlackで「投稿したよ」と流してくれるから、見に行ってハートを押すもんね。社内の温度感は上がったと思います。
ローンディールさんのXアカウント。越境の話から日ごろのことまで投稿されています。
これからも「変化に合わせて」伴走してほしい
森野:
管井さんにお聞きしたいのですが、私は今、どんな存在ですか?
管井:
SNSを一緒に運用してくださっているパートナーです。個人のアカウントにもリプライをくださったり、見守ってもらっている感もあって。細かく状況を拾っていてくれるので、2ヶ月に1度くらいの頻度でザクっと質問しても、バンっといい回答がもらえる。本当に心強いです。
森野:
次に黒木さん、来月から森野と契約終了となったら、どのあたりが困りそうですか?
黒木:
安心感がなくなるのが一番怖いです。自走できるようになってきた感覚はあるけど、「こういう時どうしたらいいんだろう」とふと思ったときに相談できる人がいなくなってしまう。Webの世界は変わりゆくものなので、今までの当たり前が通用しなくなることも絶対あると思っていて、「自走できるから安心」とは言い切れない感覚があります。
森野:
最後に島さん。この先、森野に何を期待されますか?
島:
我々を取り巻く環境は変化し続けていて、関わり方も森野さんに変化してもらってきたと思うんですね。今後も我々の変化に対して、柔軟に順応し続けてくれることを期待してます。その上で、僕らがやるべきこと、進むべき道を、時には照らして、時には背中を押してくれる存在で居続けてくれたら、いいパートナー関係を続けていけるんだろうな、と思います。

運営堂よりひとこと
Webマーケティングの支援というと、SEOとか広告などの具体的な施策についての話をイメージされる方が多いと思います。運営堂の支援は個別の施策の話もするけど、会社としてどの方向に行きたいのかを把握して、そこから最適な手段を考えて施策までお手伝いすることが多いです。また、クライアントの皆さんが「できるようになる」「わかるようになる」ことで自走までのお手伝いもしています。
自走できるようになってきたら、私がブログやnoteやSNSの投稿を見ていて気付いたことなどをフィードバックして改善していきますので、定期レポートなどがなくても自然とPDCAがまわってブラッシュアップされていきます。もちろん、その裏側にはちゃんとデータを取れる環境があって、気になることはすぐにチェックできるようになっています。
本文にもあるように、私は「情報収集癖」がありますので、ローンディールさんの動きを逐一把握してまして、「こんな本や記事を読んでいただけるとわかりやすいですよ」とか「これを実施するにはこの人が良いので、ご紹介しますね」とか「先日のイベントを拝見しました!こんな報告記事が書けるといいですね」のように、先回りしてご提案することも多いです。
このあたりが「安心感」につながっているのかもしれませんね。
