運営堂ブログ

毎日堂マーケティングラジオで個別に聞いていた話が、4ヶ月でつながってきた

毎日堂マーケティングラジオでは4月から8月までで10組の方々にいろんなお話をお聞きしました。アクセス解析、EC、BtoBマーケ、OOH、サイト運営、経営、メディア、LLMO、AIエージェント。などなど。

テーマはみんな違うのに話をしていながら同じところを指している話があるな~と感じていたので、5つに分けてまとめてみました。ちょっと無理矢理感はあって「?」となりそうですが、かぶっている部分があってまとめてみたらこんな感じ?という内容です。

まとめ終わってから今年の毎日堂にも似たようなニュースがあったよね?と思ったので、参考として入れています。

ちょっと長いのでお時間のある時にお読みください。

1. AIが探しに来る

田中広樹さん
靴下の話をされました。人間は写真を見れば「モコモコしてるしウールっぽいから暖かそう」と分かるけど、AIは写真だけでは素材も暖かさも分からない。情報が足りないとAIはすりガラス越しに商品を見ている状態になる。

河野武さん
攻城団へのアクセスの8割が人間以外になった時期があったそうです。ブラウザを装うクローラーが増えて、ユーザーエージェントでは人間と機械の区別がつかない。

竹内渓太さん
流入から推奨へ、という言い方をされてました。10本のリンクから欲しい情報をポチポチ探すのって、よく考えるとめんどくさいですからね。AIのほうが優れてるのでそっちに行くと。

上島千鶴さん
汎用品や原材料の世界では裏でもう人が探してなくて、AIエージェントが情報を探しに来てると言われてました。実際にアクセスを見ていても人ではない動きが結構走ってる。

商品データ、サーバーログ、検索の代替、BtoBの購買。話してる場所はぜんぶ違いますし、進み具合も違います。河野さんのサイトではもう起きていて問題になっていて、田中さんはすぐにAIチャットで物を買う時代が来るとは考えてないですし、竹内さんは今はまだSEOの流入のほうが圧倒的にシェアが高いと話しています。

自分のサイトの読み手が、頼んでもいないのに入れ替わっていってますよね。速度は業界でまるで違うんですけど、避けられる業界がひとつもない。ウェブサイトは人間が読むものだという前提でこれまで全部を作ってきたはずで、そこが外れつつあります。

そう見ると、対応は3つに分けることができました。

読まれる形に直す

田中さんの答えがこれで、AIに商品を理解させるには色や素材といったスペックと、使った人の使い心地のようなナラティブの両方が要るそうです。田中さんが挙げてた注意がひとつあって、レビューは過去に遡って収集できません。だから商品データの整備と同時並行で貯め始めるしかない、という順番の話でした。上島さんも同じ側で、サイトの構造をそちらに変えないと選ばれなくなると言われてます。

AIに見られるようになったことでサイトの見た目のほうも変わってきてますよね。最近はデザインを凝ったサイトが減ってシンプルなところが増えて読みやすくなった気がする、という話を上島さんに振ったら、返ってきたのがこれでした。

AIにとってデザイン関係ないですから

人が選ぶからデザインが重要だった、という前提のほうも動いてます。

断る

河野さんの答えがこれです。アクセスログを解析して悪いものを特定して、ブラックリストに自動追加していく仕組みを組んで、人間以外の比率を8割から1割まで落としたそうです。

ただ対策の中身そのものは開示しない、という立場を取られてます。閾値を明かすと回避のヒントになるからでこれは当然ですよね。

手前の話として河野さんが指摘されてたのは、GA4が自動で除外できるのは「自分はボットです」と名乗るボットだけだ、ということ。名乗らないものは残ります。

見てから決める

竹内さんは最終的にAIに出ない会社はノーチャンだと思うと言いつつ、今ノーチャンかというと全くそんなことはない、とも言われてました。現時点ではSEOの流入のほうが圧倒的にシェアが高いからで、どっちを頑張るべきかは商材によって分かれる、と。

どれを選ぶかは、AIに来られて得をするかどうかで決まるという感じですね。河野さんが断れたのは紹介されても登録者が多少増えるだけで意味が薄いからで、BtoBのサイトなら引用される率を上げれば問い合わせにつながる可能性がある、と河野さん自身も言われてます。田中さんはすぐにAIチャットで物を買う時代が来るとは考えてないけど、いざ対応するとなると金も時間もかかるので「どう考えていくか」の着手だけは早めにしておく、とのことでした。

毎日堂で取り上げた記事から
読み手が入れ替わる話は今年に入ってから何度も取り上げてました。

毎日堂では毎朝こういう記事をまとめて配信しております。

2. 見ていた数字が、判断に使えなくなった

宮脇啓輔さん
広告の枠の値段そのものが上がってると話されてました。12〜13年前のアドテクの世界ではCPM50円くらいで、1インプ単位だと0.02円のような数字になっちゃうから1000インプ当たりの単位になってた。それが今はMetaで5000円規模。「もう1インプ当たりの単価でいいじゃないか」という水準まで来ています。しかもこれは不可逆で、東京の不動産価格と同じでほぼ値下がりしないという見立てでした。

河野武さん
大量のボットアクセスを見たときの第一印象が「もうページビューは使い物にならないな」だったそうです。見分けがつかない以上、数字として信用できませんからね。河野さんが提起されたのは、あなたたちはどこまでこのページビューに依存するのか、依存するのだとしたらどこまで正しいページビューにクリーニングしてるのか、という問いでした。

阿部圭司さん
大事なセッションは全部切れてる、と話されてました。セッションがつながってるという話はよくされますけど、本当に大事なセッションはほとんど切れてる。つまり測れない。自分がその商品を選んだ理由って自分でも説明できないことがあって、「なんか知ってんだよね」「なんかどこかで見た」という状態になりますよね。

竹内渓太さん
LLMOをパフォーマンスマーケティングだと思わないほうがいい、と話されてました。SEOのようにキーワード順位が上がりました、流入がいくら入りました、コンバージョンです、とならない。渋谷の大型看板に数千万をかけてもリターンは分からない、あれとほぼ一緒だということですね。竹内さんは海外カンファレンスのSMXに参加したときの空気も伝えてくれました。参加者がみな「昔のマーケティングに戻りました」「目に見えるものなんてない」という前提に立っていて、それを受け入れなかったら何もできないんだからまず受け入れましょう、というところから全員がスタートしてたそうです。

広告の単価、ページビュー、セッションのつながり、LLMOの成果。全部違う話なんですけど、今まで判断基準にしてたものがどこも同じように使えなくなってきています。数字が取れなくなったわけじゃないです。取れてはいるけど、その数字を見て今までと同じように判断するというやり方のほうが効かなくなっています。

では何を判断基準にするのか。ここが2つに分かれました。

数字の外側に判断材料を置く

宮脇さんは、データドリブン経営をした結果、目に見えない資産形成に投資ができなくなってきた。もう一回そっちを頑張れる会社が勝つんじゃないか、と。

実際の判断としてどうなるかというと、中本裕之さんが挙げてたのが展示会の例です。展示会に出るかどうかを展示会だけの数字で語るべきなのか、全体の中で貢献してるから良いと判断するのか。単体の数字で切ると、投資すべきものが落ちちゃいます。

阿部さんも同じ側で、「それってエビデンスあるんですか」という問い方を判断の唯一の基準にすると、エビデンスがないけど何かある、という領域を全部捨てることになると言われてました。阿部さんが本に書かれた例が分かりやすいです。風水を信じる必要はないけど、ないがしろにする必要はない。論理的に説明しろと言われても「だって鬼門なんだもん」としか言えないけど、2000年続いてるものをわざわざ批判する必要もないですからね。

判断の落とし所として阿部さんが置かれてたのが、選択肢がある中ならみんなが悪いと言わないほうに行けばいい、というもの。エビデンスがないから採用する・しないの二択じゃなくて、他の条件が同じなら避けておくという扱い方ですね。

数字のほうを作り直す。見る数字そのものに手を入れる

河野さんはクリーニングという言葉の位置が変わったという指摘をされてました。クリーニングというとこれまではデータの活用側・ビジネスロジック側の話だったけど、今起きてるのはそもそもの一番最初の段階でもクリーニングしておかないと信用ならないデータですよ、という話になっています。判断に使うのは生のPVじゃなくて掃除したあとのPVです。

竹内さんは指標そのものを別のものに置き換えられてます。順位・流入・コンバージョンという指標を捨てて、重要なプロンプトを300個くらい決めて毎日モニタリングして、自社が出てるのか、出てるならどういう言及内容で出てるのかを見る。見る対象が、検索結果から生成された文章の中身に移ってます。

毎日堂で取り上げた記事から
数字が信用できないという話はここ最近はかなり話題になっています。


3. コピーするのに同じだけ時間がかかるもの

中本裕之さん
ホワイトペーパーの話をされました。10ページ分ならすぐ作れるから作って配信しよう、という話が支援の現場で頻繁に起こるそうです。結果として薄い記事と薄い資料が増えました。

中本さんの判断は逆で、みんなが量に流れるからこそ質を求める動きをする人が減る、だから一球入魂できるもの、魂を込めて作れるものを出す、というものでした。量産の代表格とされるホワイトペーパーでこそやる。

加藤誠也さん
OOHの情報源を聞いたら自分の足だと答えられました。2020年から「広告巡礼」として街を歩いて広告を見て回ってるそうです。AIもいろいろ試したけど、情報に偏りが出ることとソースが不明確なものも多いことから、結局RSSリーダーを使っていてAIは補助的な立ち位置だ、と。

歩き方も具体的でした。郊外に引っ越して通勤に1時間かかるけど、それに加えてプラス1時間、歩き回る時間・電車に乗る時間・遠回りをする時間を設けてるそうです。同じルートが使えるなら別の路線をあえて選んで、東急のように直通運転をしてる路線では、来た電車が見たい路線でなければ待って次に乗る。目的を持たずに「行ったことないからちょっと中野駅行ってみよう」くらいの動機で出かけることも多いとのことでした。加藤さんはこれを、AI時代だからこそ決まっていない無駄こそが価値を生む、という価値観だと言われてます。

舟本昭博さん・竹内長さん
記事をゼロからAIには書かせてないそうです。使うのは冒頭のリード文や締めといった「飾りの部分」で、あとは構成案の相談。ネタ出しにも使ってない。話を聞いたうえで「このネタ面白いよね」というものが先にあって、そのうえでAIに膨らませ方を相談する、という順番になるとのことでした。舟本さんの言い方だと、0〜5ぐらいまでやってもらえば6から10はこっちでいい感じにできるということでした。

竹内長さんが挙げてた続け方も同じ側でした。他のメディアを見ていて、他がやらないこと、やりたくないこと、うちができることをやってる。それをやってると死なない。うちにしかないので、ずっと続けられてるそうです。他メディアに全部断られた案件が回ってくるという話もされてました。外資系は要件が細かくて、数をさばくんじゃなくて一社一社向き合うからやっていけると。

上島千鶴さん
私のように発信して認知を取ってきた人はこれからどうすればいいか、とお聞きました。

一つ目が一次情報の深さ。どこにでも書いてある知識のまとめはAIが無料できれいに生成するようになるので、情報の横流しのような価値は減っていく。だからAIがアクセスできない最初の一次情報を生んでる部分が重要になる。泥臭く人に会って、現場の生々しい悩みや、言語化されてない成功・失敗の事例を仕入れると。

二つ目が解釈。AIはある程度の要約はできるけど、情報の点と点を結びつけて「ここまではやっておいた方がいいよ」とアドバイスするときの裏付けを持ってない。結局「誰が言ったの?」というところに戻ります。

三つ目がキャラクター性。上島さんの言い方では、結局は人格のようなものになっていくのではないか、と。自分が信頼してるこの人が言うことなら確かだろう、という層の話ですね。

4組とも、AIを使わないと言ってるわけではないです。加藤さんは撮った広告の画像をAIに投げて誰向けの広告かを分析していますし、コマースピックさんはリード文と締めを任せてます。使い分けたうえで、渡してない部分が共通してるという感じです。

舟本さんにこの先ウェブメディアはどうなるかと聞いたら、テキストのニーズはメインストリームではないにせよ、ちゃんと学びを続ける人にとっては欠かせない領域として生き残り続けると思う、という答えでした。しかも舟本さんはそれをいいことだと捉えられてます。理由は、そういう人たちがおそらく決裁者としても残り続けていくから。

上島さんが一次情報の例として挙げられたのがこれでした。

森野さんと直接会わないと聞けない話は一次情報だ

ホワイトペーパー、街歩き、記事の書き方、発信のしかた。やってることはばらばらなのに、AIで量産できるものからわざと降りてるという点が同じでした。

降りた先に置いてるものも似てます。中本さんは1本に込める手間、加藤さんは歩いた時間、コマースピックのお二人は断られた案件、上島さんは会って聞いた話。どれも、コピーしようとすると同じだけ時間がかかります。

青木耕平さんの『起業芸術論:ビジネスを「芸術」として鑑賞することについての試論 (アフィリエイトリンク)』に、村上隆を例として「プレミアムが乗っているはずの作品価格が、再現にかかるコストに比べればむしろ割安なのだ」という一節があります。4組がやってることもこれと一致してるかなと。AIで作れないから価値があるんじゃなくて、再現コストが高いから価値がある、ということだと思ってます。

毎日堂で取り上げた記事から
一次情報という言葉はLLMOの文脈でよく聞きますがそれはちょっとと違うのでこちらを参考に。

4. 渡そうとすると急に難しくなる

第1回で大内範行さんが言われてたのは、分析そのものは生成AIで楽になったのに、その結果を人に伝えるのはむしろ難しくなった、ということでした。

それまでの過程があるからそこにたどり着いたのに、いきなり結果だけポンって渡されても、他の人たちはわからない

生成AIとのやりとりは1対1で、途中の間違いも含めてチャットが積み重なっていきます。その積み重ねがあるから結論にたどり着けるのに、受け取る側には結果だけが渡る。昔は自分が分析して言える範囲だけをレポートに書いてたけど、今はこれもあれもできちゃうからなぜそのデータが出たのか、なぜそうなったのかの説明が追いつかない。大内範行さんは、これはアナリティクスとは別のスキルだと言われてました。

さらに厄介なのは、この段差がセミナーなどでは埋まらないことです。ツールの時代なら勉強会に行けば追いつけたけど、AIは結局こっちとの対話量なので、触ってない人は何回聞いても分からない。だから組織の中に段差ができて、話が通じなくなります。

同じ形の話が他の回でも出てきました。

中本裕之さん
挙げてたのは、AI活用のレベルを上げようとするときの前提条件でした。見落とされがちだけど、フォルダ構造や資料の格納状態がデータを引き出せる形になってるかが効く。ここが整ってない企業は苦労すると。

中本さんはこれをDXの議論と同じ構図だと見られてました。言葉に引っ張られず、どういう状態にしたいのか、どういう業務にしたいのかを先に置いて、その中でAIが使えるところを探す。順番が逆になると失敗するということですね。

上島千鶴さん
挙げられたのは営業の教育でした。「俺の背中を見てろよ」という言い方は、やり方を見て自分で真似しろ、どういうトークをしてるかをちゃんと見ておきなさい、という意味になります。ところがその一言で終わっちゃって、何を見なければいけないのかまでは言語化されてない。だから商談が終わったあとに「で、何だったんですか?」と聞かれるそうです。

上島さんの整理では、製品知識のような認知能力はテストができるけど、スキル的な非認知能力は誰かが言語化して「こういうことだよ」と説明して、ワークか何かで実際にやってみるところまでいかないと伝授できない。上の世代が対面の重要性を説明できないのは、自分たちもそういう教育を受けてないからだ、とも話されていました。

どこの企業でも同じことが起きてますよね。育成されなかった世代が管理職になって、今度は自分が育てられない。連鎖が切れてます。上島さんが言われてるのはマーケや営業に限った話じゃないはずです。

分析の過程、フォルダ構造、営業のトーク。中身は何ひとつ共通してないのに、持ってる本人の中では完結していて渡すときだけ困る、というのが3人とも同じでした。

分析できてる人は困ってません。商談を取れてる先輩営業も困ってない。困るのは渡すときだけで、しかもそれは能力の差じゃないです。勉強しても埋まらないところに段差ができてます。

渡し方の話になると、方法が2つに分かれました。

AIに渡す

上島さんが挙げられたのは、今の50代後半から60代の営業トークを、非構造化データとしてどれだけAIに教師データとして持たせられるか、という課題でした。先輩営業のエージェント化、進めていかないとあと10年ほどで皆いなくなってしまうと。

中本さんのフォルダ構造の話も、渡す前の段階として同じ側です。資料がどこにどう格納されてるかが整ってないと、そもそもAIに渡せません。渡す中身を作る前に、渡せる形にしておくという順番になります。

大内千佳さんのスキルの話は、これを個人の仕事でやったものですね。大内千佳さんはスキルを「業務マニュアルみたいなもの」と表現されてました。書き方も具体的で、自分がCMSを作るならこういう仕組みにする、こういう運用をするだろう、という内容を長い文章でそのまま書いちゃう。最後に「他にいい方法があれば教えてね」と付けるそうです。

作る順番も決まってました。いきなりスキルにするんじゃなくて、まず普通に試行錯誤して、うまくいったらそれをスキル化する。米本和生さんも「それがおすすめです」と言われてます。

誰が用意するかを分ける

同じTAMさんの話でも、こっちは大内千佳さんが渡される側になります。

TAMさんではセキュリティで守らないといけないもの、規定のロゴ、トーンアンドマナーといった全社で絶対共通のものを米本さんが作って配布されてます。そこから先、自分の業務やクライアント業務の上で固有にやりたいものは、それぞれが独自に作っていく。

大内千佳さんが、非エンジニアとして一番米本さんに頼ったのはターミナルの操作だったと話されてました。慣れるまでは米本さんがあらかじめ危険な操作を禁止しておいてくれた、と。全部を自分で分かるようにするんじゃなくて、分からなくていい部分が作ってあるわけです。

スキルを書く側と、環境を作ってもらう側。同じ人が両方をやってますね。

毎日堂で取り上げた記事から
AIに渡す側の記事と人に渡す側の記事が両方ありました。

5. 価値の置き場所が変わる

大内範行さんが第1回で言われてたのは、この2〜3年に限れば仕事は増える、ということでした。今までやりたかったけどできなかったことが、事業会社側も支援会社側もできるようになる。やりたいことができないというストレスより、できたという快感のほうが多くなる。だから気をつけるべきは失業じゃなくて働きすぎのほうだと。

そのうえで、大内範行さんはこう続けられてます。

手法とかツールの使い方だけが自分の価値だった人は、多分あの、ちょっと仕事がなくなるんじゃないかとか、誰がやっても同じなんじゃないかっていうふうになってくると思う

もう少し広い視野で考えてる人にとっては全然ポジティブな世界だ、というのが大内範行さんの見方でした。

田中広樹さん
広告運用の側から同じ線を引かれてます。エージェンティック広告といっても範囲が広くて、入札の自動化はGoogleもMetaもとっくに済んでる。クリエイティブ生成もかなり自動化されてる。これから来るのが、自然言語での指示や操作になるということでした。

そのうえで田中さんが挙げられた、人に残る仕事が4つありました。

  1. AIがうまく働くためのファーストパーティデータを、どう収集してどう提供するか
  2. その上での意思決定
  3. クリエイティブの最終仕上げ(人が手を入れたもののほうが見栄えがいい場面はまだ残る)
  4. 分析や判断のための環境を整えること、そのもの

結論は明快で、運用だけをしてる人はいよいよ厳しくなってくる、とのことでした。

竹内渓太さん
SEOは死ぬのかと聞いたら、模範解答としては「死にません」と言うところだけど自分は「死ぬ死なないとかどっちでもいいかな」と思ってしまってる、と前置きしてから答えてくれました。

なくなっていくものを、竹内さんは具体的に指定されてます。Googleという検索窓にキーワードを入れると10本のリンクが並んで、そこで上位表示していく戦い。これをやってるのであれば、まあまあなくなっていくと思う、と。検索のインターフェースがAIになって、自然言語になっていきますし、しかもそのほうが便利ですからね。

一方でその裏側でやってきたことは別だそうです。上位表示するために何をするのか、トラフィックを集めるためにどうするのか、検索アルゴリズムがどういう仕様で動いてるかを踏まえて、自分たちのプロダクトの強みを理解したうえで何をやればいいのかを考えてきた。この技術は転用できるし生き残っていく、というのが竹内さんの答えでした。

アナリティクス、広告運用、SEO。担当してる領域はぜんぶ違うのに、同じ職種の中でなくなる部分と残る部分に割れる、という話をされてました。職種ごと消えるという話を誰もしてないんですよね。

大内範行さんは仕事が増えると言い、田中さんは運用だけの人は厳しいと言い、竹内さんはSEOが死ぬかどうかはどうでもいいと言ってます。言い方はばらばらだけど、自分の仕事を一度分解してどっち側に自分がいるのかを見ろ、という点では同じかなと。

残る側はどこにあるのか

大内範行さんが挙げられたのが超伴走型でした。ツールの知識でもレポートのアウトプットでも差がつかなくなったときに残る役割で、お客さんとほぼ同等な感じで事業もよく理解したうえで、生成AIのチューニングやカスタマイズをして、できるだけ事業会社の方が楽になるようにする。レポートを出すんじゃなくて、相手の環境を作る側に回るわけです。

田中さんが挙げられた4つのうち、最後の「分析や判断のための環境を整えること」がこれとほぼ同じ場所を指してます。竹内さんの言う「転用できる技術」も上位表示という出口がなくなったあとに残るのは仕組みを理解して設計する部分でした。

3人ともアウトプットを出す仕事からアウトプットが出る仕組みを作る仕事へ、という方向を向いてます。

大内範行さんは、これによって力関係も変わると見られてました。これまではツールをよく知ってる支援会社が教える側で、事業会社はレポートを受け取る側だった。それが事業会社も自分たちで確かめられるようになりますし、事業ドメインを一番よく知ってるのは彼らなので、対等か、むしろ事業会社側のほうが上になる。大内範行さんはこれを「それが理想だと思いますね」と言われてます。

毎日堂で取り上げた記事から
支援会社の役割が変わるという話は、収録の前後によく取り上げてました。

下の2本は大内範行さんご本人が書かれたものなので、番組の話とつながってて当然なんですけど、収録では聞けなかったところまで書かれてるので補足として。

おわりに

第1回の最後のほうで、こんなやりとりがありました。

実際に自分がやっていても、お客さんに入り込まないと何ともならないし分からないことが多すぎる。GAやサーチコンソールのデータだけ見てても、ビジネス上の判断は何もできない。そう話したら、大内範行さんの答えがこれでした。

本当はもともとそうだったんだと思うんですよ

正しい在り方になってるんだと思いますね、とも言われてます。コンサルに頼めば事業がうまくなるというのもやはり幻想だったと思うということです。

4ヶ月分を並べてみると、この大内範行さんの言葉がよく分かります。

読み手が人からAIに入れ替わったのも、見ていた数字が判断に使えなくなったのも、量産できないものを持つしかなくなったのも、手順を渡す方法を考え直すことになったのも、自分の仕事のどこが残るのかを見直すことになったのも、どれも道具が変わったからこうなったという話ではないです。道具で隠れていたものが、道具が変わったせいで見えるようになったという話に近いかなと。

判断は数字だけではできない。一次情報は自分で取りに行くしかない。手順は言語化しないと渡らない。事業を理解しないと支援にならない。すべて前から言われていたことでした。

10組の方に聞いても誰ひとり「もうダメだ」とは言っていませんでした。それぞれのやり方で、これからどうするかを話してくれてます。unnameさんは現場を見続けているし、加藤さんは歩き続けてるし、コマースピックは他がやらないことをやっています。しんどそうにも見えるんですけど、みなさん楽しそうなんですよね。

しんどいのは、たぶん変わりたくないからです。変わっていいと思えば、今ってかなり面白い時期なんでしょうね。

最初の回で大内さんが言われてたもう1つの言葉を最後に書いておきます。

根本的にいい世界に入ってるんだと思います

ここまで読んでいただいた方は、トレンドなどを知りたい方だと思いますので、毎日堂マーケティングラジオにご登録くださいね!