フリーランスになってから(2006~)を振り返る -本業でやっていくという気持ちだけで乗り切った-

フリーランスになってからはいろんなことがありました。順調に進んだとは思ってないですし、何とか生き残っているという感じです。どんな感じでやっていくかの参考になってくれるといいのですが。
【独立後の苦労みたいなのはあったけど】
独立当初は、そんなにスムーズには進んでいないです。前職のつながりからいくつか仕事はありましたが、それでも安定はせず、収入も少なく不安しかなかったです。週末は家電量販店に派遣バイトで入って、デジカメやパソコンの説明をしたりしていまして、この経験はこれまた結果的に接客経験として生きることになります。
独立開業やフリーランス関連の本を読みあさったというか、稼ぐヒントを追い求めていた感じです。FCビジネスとか魅力的に思えるという…。でも、稼ぐ系のノウハウに手を出すのは違うと思ってましたし、安易な方向には行きたくないという気持ちが強かったです。
バイトとか派遣をやっているとそこで収入が生まれてしまいます。そうするといつの間にかそっちが本業になりがちですし、それって独立しなくてもできることですよね。フリーランスになったからには、独立しないとできないことをやったほうがいいと思ってます。
食えないから他の仕事…という発想はないほうがいいです。
【パソコン売り場での気づき】

家電量販店のパソコン売り場担当時に大きな発見がありました。
お客さんは必ず最初に「パソコンください」と言ってくるんですよね。目の前はパソコンしかないのに。これって違いがわからないから言っているんですが、最初はそれがわからなかったです。「え?どれでもいいじゃん?」みたいな。
で、話を聞いてみると孫とメールがしたいとか、ネットが使いたいとか、PCでTVを見たいとか、いろんな要望があるんですよね。そうなるとそれにあったパソコンも自然と決まってきて、あとは値段との兼ね合いという流れ。何かを売るという感覚よりも話を聞いてあげれば自然と売れる感じですね。
実店舗って何かしら欲しいとか興味があってくるわけですから、そこを知らないといけないですし解決してあげないといけないです。「売ろうとしたら売れない」と思ったのはこの時期。
最終的にはレジにYah○○!BBさんがいたおかげで「回線?よくわからんからやめるわ」ということが多かったのですが…。
日本のネットの普及に貢献していただいたのはありがたくも、自分の成績を考えると何とも困った存在でした。
【知り合いを増やす努力】
平日は仕事があればそれをこなし、なければとにかく人に会いに行きました。業種交流会や勉強会、誰かに少しでも誘われたらすぐに参加する。そうしてフットワーク軽く様々な人に会いに行っていました。
独立前から知り合いだった税理士さんに「中小企業診断士をとってみたい」という話をしたら、「そんなことよりも経営者に100人あったほうが経営のことはわかる」と言われまして、「勉強するよりは楽かな?」ぐらいの気持ちで会いに行ったわけです。体育会系出身なので飲み会の作法とか下っ端としての振る舞いは身についてましたし。
そうするともちろん知り合いも増えますし、仕事もそれなりにいただけるんですが、飲みの場が増えます。日付を越えるぐらいに帰ってきて、午前中は使い物にならず、午後からちょっと働いて、そこから飲みに行く…というサイクルになってしまったんですよね。また、下っ端なので上下関係になってしまい「この仕事、お前にやるわ」という空気感があり、感謝はしつつも対等な関係で仕事がしたいな~と思ってました。
人間関係ではなくて、スキルでプロとして認めてもらって発注してほしいということですね。
そこでやったのがこれです。
地方に住んでいて東京の知り合いを増やす方法
- 懇親会や交流会のあるセミナーなどに参加する
- 懇親会や交流会で名刺交換をする
- 少人数の2次会などあれば参加していろんな人と話す
- 皆さんにお礼メッセージなど送ってSNSやブログをチェック
- 後日、そっちに行くことがあるといって食事にお誘い&ほかにも何人かいると嬉しいと伝える
- そこで新しい人と知り合う
- 以下、同じこと繰り返す
別の記事で書く予定ですが、a2iさんに参加してこれをやってました。自分が行きたい方向の集まりに行くとストレスなく知り合いが増えると思います。
ちなみに、経営のことは…いろいろ(意味深)わかったので、税理士さんの言っていたことは間違いではなかったですし、やってよかったと思っています。勉強も大切ですが、世の中って人間がやることって決まり切ったことはないので、臨機応変にその場のその場でやっていかないといけませんし、ゴールに到達すればいいと考えれば手段もいろいろ浮かびます。
知識と経験のどちらかに偏ってはダメということ。
【「作って終わり」とGoogle アナリティクスとの出会い】

制作会社は基本的に作るところまでが仕事で、納品したら終わりというスタンスのところが多いですよね。更新や改善は単価も低く細かい作業が多いため、あまりやりたがらない傾向にあるのは、今も昔もおそらくこれからも同じです。
しかし、クライアント側は「ホームページを使って成果を出したい」と考えています。ここにギャップがあると気づき、作った後のウェブサイトのデータを分析して改善し、成果が出るようにすれば価値が生まれるのではないかと考えたわけです。制作会社がある限り、作って放置されるサイトはどんどん増える。つまり、この仕事には継続的な需要があるんですよね。それがもうかるかどうかは別として、ウェブサイトの改善ができるスキルがあれば食べていきそうだし、やっている人も少なかったから競争もないはずと思ってました。
当時、アクセス解析ツールはいくつかありました。忍者ツールとかですね、懐かしい。その中でもGoogle アナリティクスは群を抜いていました。高機能でしたし、無料なので田舎のフリーランスでもゴリゴリ使えたわけです。東京の皆さんは見たことも聞いたこともない有料ツールを使ってましたが。
データを分析していくと「どのページでユーザーが詰まっているか」「次に進みにくい部分はどこか」が見えてきます。どこから来た人が問い合わせをするのかもわかります。つまり、ユーザーの気持ちが分かるようになるということです。統計的にどうとかではなくて、使っている人が困っていることが分かるので、それを解決すればよいだろうということです。
やることはバナーやボタンを少し調整したり、ナビゲーションを変更するぐらいです。これだけでユーザーの動きが大きく変わるんですよね。派手な改善は費用も時間もかかりますが、安くて・早くて・結果が出る施策は受け入れられやすいので改善が進みますし、改善されればどんどん仕事が増えるというサイクルです。
特に地方のクライアントは(よく言えば)コスト意識が高く、「タダでやってくれるならいくらでもお願いする」という方も多くいました。そのため、自分でしっかり分析して、なるべく費用をかけずに簡単な修正で結果を出す方法を常に考えていたというのもあります。
作業でお金をいただくのではなくて、結果を出してお金をいただく、という考えはこのころから変わりません。もちろん、作業もたくさんしてますが、基本的な考えということです。
【作業で頑張らない】
当時はアクセス解析レポートの需要ってたくさんありました。
やろうと思えば人を増やしてどんどんレポートの仕事をとって…ということもできましたが、作業って効率化とマンパワーの勝負なので小さい企業には向いてないやり方なんですよね。下請けでやってしまったらもう逃げられません。自由と収入の引換みたいになっちゃいますので。
何をやったのかというと、コンサル的な仕事をすることにしました。
レポートは何のためかというと現状を把握して、課題を抽出して、アクションしたらその結果を見るためです。つまり、改善したいということなんですよね。であれば、改善のアクションを提案できて、それの計測をやれば作業からは解放されてもうちょっと価値のある仕事ができるわけです。
一方で、提案に対する責任も増しますので、そっちに対する投資は増やさないといけません。勉強と経験ですね。
作業を早くたくさんやるのか、考えることをちょっと早くそこそこやるのか。自分にあったほうで考えればいいと思いますが、年齢とともに作業はきつくなりますし、作業をする人を雇うと固定費が発生するのだけは意識しておきたいです。
【稼がないといけないから時間の使い方も変わっていく】
結婚
- 自分の時間が減る
- 今までの動きができない
- 稼がないといけない責任
- 趣味の時間も減る
子供が生まれる
- さらに稼がないといけない責任
- 夜型だと子供の面倒を見れないので朝型に
- 自分の時間はほぼなし
- 仕事に集中して、いろいろとできるようになるのが楽しい
家を買う
- 「ここ買うから」で決まり
- 更地の状態で建売を購入
- 小学校の分団も変わらないという好立地だけど
- さらにさらに稼がないといけない
人生設計があって稼ぐ額を決めていたわけでもなく、ガンガン稼ぎたいと思っていなかったので、ライフステージの変化によって稼ぐ意識が変わっていきました。これじゃ生活できない!を認識して初めて動いたわけです。危機感大事。
独立してからもたくさん仕事をしていた気でいたものの、家を買ったあたりから比較すると1/3ぐらいの仕事量でした。働く時間が増えたことと、いかに効率よく働くかを考えていたからですね。
効率よく働くには一石三鳥以上を狙うこと。例えば誰かに会うとして…。
- 知らない人の話から知らないことが分かる
- 知らない人と話すときの話し方を勉強できる
- 知り合いが増えていく
- 知らない場所に行けばちょっと散歩して観察する
- 移動中も看板などを見て広告の勉強
といった感じです。
起きているうちは五感をフル稼働させて情報を得ることと、今やっていることから得られるものが何かを考える。これだけで2倍は働けるようになります。
【真面目に働けば稼げるようになる】
上記理由によって稼げるようにもなったんですが、環境の変化でも稼げるようになるんです。
独立当初はマンション一室でして、ゲーム機やTVが置いてあって昼間から遊ぶといった感じでした。ゲームの合間に仕事をするというか…。そんなときにグランフェアズさんとオフィスシェアすることとなります。
こんな流れです。
- 改善施策を実行できる制作会社を探していた
- グランフェアズさんは解析できる人を探していた
- オフィスシェアしよう!
- グランフェアズさんは超真面目な会社だった
- ちゃんと働く会社で雰囲気が合わず半年ぐらいは窒息死しそうだった
- 自然と自分もまじめに働くように
- 売上アップ!
- 働けば儲かることを実感
当たり前なこと。皆さんもお試しください。
【徳島と二拠点生活】

徳島との関係は徳島ヴォルティスとの出会いがきっかけでした。もともと94年のアヤックスが好きだったのでオランダ式というかスペインサッカーも好きだったわけです。そこに出てきたリカルド・ロドリゲス監督のスペインサッカー、華麗なボール回しに魅了されていつの間にか…です。
Xのサッカー用アカウントでつながっていた方々が、現地で親切にしてくれたおかげで、スムーズに馴染むことができたこともあります。XがなかったらひとりぼっちだったでしょうからSNSってほんとにすごいのです。今では徳島に知り合いも増えて一緒に飲みに行くことも多いですし、どこかでばったり出会うことも多いです。
また、徳島の家賃の安さも魅力で、ホテル滞在よりアパートを借りた方が経済的で仕事にも集中できるため、徳島に住むことにしました。今では1泊で1万以上するんですが、家賃は2DKで5万ぐらいなので圧倒的に効率が良いです。名古屋と徳島の二拠点生活になりましたが、仕事の内容や時間の使い方は基本的に変わりません。パソコン一つで仕事ができるから場所と時間の自由度があります。
仕事が増えたか?と言われたらそんなことはないです。
でも、自分の人生に幅が出たというか新たなジャンルが追加されたので、新しい人生が始まった感じはあります。サッカー関係者の知り合いも増えたのもありますし、今までの延長線上にはない生活ですからね。
フリーランスって目標を見失いがちですが、こうして趣味を伸ばしていくというかのめりこんでいくと刺激があると思います。趣味の時間がない!ではなくて、趣味も仕事も区別なく考えていくといいはずです。
【本業でやっていくという気持ち】
フリーランスでやっていくのはここだけだと思います。
バイト、派遣、下請け、…安易な方向に行きだすと止まりませんので、自分の価値は何なのか?それをどうやって買ってもらうのか?を考えないといけません。
それやってうまくいくの?と考えるのではなくて、自分の24時間はすべてうまくいくために使う。と考えないといけません。こう考えると無駄なことをしなくなりますので効率が良くなって、一気に伸びていくと思います。ハードワークしないといけないですね。
勘違いしてほしくないのは働く量を増やすのではなくて、働く質を上げてそれをたくさんこなす。ということ。
目的のない量は無駄です。
次回はGoogle アナリティクス、a2iといったアクセス解析について振り返ろうと思います。