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AI活用に完全に乗り遅れていると焦っていたけど、自分のやり方に合わせてAIを使っていたんだと気づいた

SNSを見てもメディアを見てもどこを見ても「AIでこんなのできた!」「AIで1/10に効率化できた!」という話題ばかりですし、Claudeを使って何かしらのアプリとか作ってないと遅れた感じになってかなり焦ってました。

でも、使ってみるとなんか違うんですよね。

自分がやりたいことじゃないと思いますし、そこを効率化しても楽しくない。

そのモヤモヤを言語化したくてこの記事を書いてみました。

結論から言うと、乗り遅れているわけではなくて、自分の仕事の性質上、違う使い方になっているというだけのことでした。同じように焦りを感じている人の参考になれば嬉しいです。

自動化路線を選ばない理由

自動化路線を否定するつもりはまったくありません。

効率が上がるし、できることが広がりますから。

やれる人はどんどんやっていて、ものすごく効率化してますし、ものすごく儲けている人もいるはず。

ただ、自分はここにいないというだけのことなのかなと。

理由は二つあって、一つは自動化した仕組みの保守コストの問題です。AIに任せた仕組みはどこかで必ず修正が必要になりますし、修正ができるのは作った人だけという属人化が起きます。いつの間にか「AIの保守」が仕事になってしまう可能性があります。

もう一つは量の競争への懸念です。量をこなす方向に進むと自分より量をこなせる人やAIが必ず出てきます。その競争で今だけ勝っても意味がないと思ってます。地方のフリーランスという立場では、ひとつの突き抜けたスキルで生き残るのが難しく、どうしても量より質の勝負になりますから。

これは今に始まった話ではなくて、アクセス解析が普及し始めたころはレポート作成の仕事がたくさんありました。人を増やしてどんどんレポートをこなすこともできましたが、それは量の勝負で作業であり価格も下がっていく。早めに撤退して改善提案と実行に重きを置くようにしたのは過去にも書きました。

「作業でお金をいただくのではなく、結果を出してお金をいただく」という考えは、そのころから変わっていないので、自動化路線ではないな~と思ってます。

MCPサーバーなどでやっていることもそのうちツールになるはずです。ツール代がかかってしまいますが、バグ対応とか機能追加をしてくれますし、わからないことを聞いたら教えてくれます。AIに聞いて自力解決でもいいけど、そのうち面倒なことになりそうですよね。

自分がやっていることの全体像はこんな感じだった

では実際に何をしているのかというと、AIと壁打ちしながらまとめたらこういう構造になっていました。

「集める→蓄積する→貢献する→また集まる」というサイクルです。それぞれの層を説明していきます。

集める 日常のすべてが資料になる

GA4分析・ペルソナ

集計はLooker Studio、もしくはGA4などのCSVデータとかPDF。AIが活躍するのはその先の「このデータをどう解釈するか」という部分です。GA4のデータからペルソナを作るときも、集客・ページ・調査・ボイスの4種類を作って対話しながら統合していきます。アドホックというか、その時の状況に合わせた分析の最終判断は、自分の目で見た方が精度が高いと思ってます。AIが出すのはヒントと視点であって答えではないですから。

課題の設定、どのデータがあればいいか、どの計測をすればいいのかという設計などは自分が考えた上で「自分はこう思うけど、足りないものある?」とAIに聞いて議論をしていきます。

現場観察

電車の中、道路の看板、飲食店の立て看板、本屋のポップ、聞こえてくる音や会話。展示会では看板、タペストリー、デモ動画、担当者の説明、来場者の傾向、時間や曜日や天気の違い。日常のすべてが観察対象になっています。

見るときのフレームはいつも同じです。誰に何を伝えるのか、どんな表現をしているのか、どの状況でそれが出されているのか。フリーになってからずっと変わっていない習慣で、意識してやっているというより、見れば自然にそのフレームで入ってくる感じです。五感で感じたものをそのまま自分の知識にするイメージでしょうか。

ポッドキャスト

インタビューのポッドキャストを始めたのは、人間が持っている宝物を引き出したかったからです。AIが大量のコンテンツを生成できるからこそ、人間から引き出したコンテンツの価値が上がると思っています。1次情報だからなんてことはまったく思ってないです。AIは自分に合わせてくるけれど、人間はその人の価値観と経験で話してきますのでまったく違った角度からの会話になって、それが自分の脳を刺激するんですよね。

大内さんとの対談で「これから楽しくなる」という感覚を得たのがまさにそれ。AI時代だからこそ、人間との対話の刺激が心地よいです。

毎日堂アーカイブ

過去のニュースレターをClaude Codeでトレンド分析しています。自分のコメント、ピックアップした記事の傾向とかですね。これは外部のどのデータにも存在しない自分だけの歴史なので、かなり参考になっています。毎日堂のその1からのデータがある人にもできてしまいますが、そんな面倒なことをする人はいないはず(笑)。

コンテンツ制作・クライアントとの対話

記事の骨格をAIと対話しながら作る。この記事がその例です。クライアントとのミーティングや現場訪問で得た気づきも、メモして後でプロジェクトに入れていく。もともとやっていた記録の習慣がそのままAIへの入力になっています。

蓄積する 秘伝のたれとしてのプロジェクト

集めたものを全部そのまま入れてはダメです。

Garbage in, Garbage Outってやつですね。

資料を整理せずに渡してくるディレクターがいると周りの仕事が増えるのと同じで、整理されていない情報を渡すと出てくるものの質が下がります。自分が良いフィルターになって情報を通さないと、AIも困るというかいらんことをします。

入れているのはいろんなものがあって、議事録、クライアントの理念やブランドブック、自分の分析視点や考え、その他いろいろが継ぎ足されていきます。日本料理の秘伝のたれのように特別に仕込もうとしているわけではなく、仕事をしながら自然に継ぎ足されていきます。長期間続けることで「このクライアントのことを知っているClaude」が育っていて資産になっています。

といっても、最初は何を渡せばいいかわかりませんでした。AIと対話を重ねる中で自分の中にある資産に気づいていった感じです。AとのI対話を続けて、AIのことが理解できたからなんでしょうね。人間を理解するのとまったく同じことでした。

貢献する そしてまた集まる

プロジェクトに蓄積されたものをベースに、クライアントへの的確なアドバイス、実行プランの作成、スタッフへの指示ができるようになっています。

もちろん、AIが出したものをそのまま渡したことはないです。必ず自分でチェックして、相手に合わせて修正します。クライアントごとの文脈、過去のやり取り、担当者が気にしているポイントなどで、ここは自分が介在しないといけないというか、ここの手を抜くとコミュニケーションがうまくいきません。

最近あったことをちょっと付け加えるとか、SNSの投稿に触れるとか、ちょっとしたことなんですけどね。

そしてクライアントに貢献する中でまた新しいものが生まれます。ミーティングの議事録、現場で気づいたこと、スタッフとのやり取り。これがまたプロジェクトに入っていく。使えば使うほど育っていく構造です。

サイクルを回して気づいたこと

AIとの対話でやっていることは自分の頭を整理し、自分の知識を使い、外部データを入れることです。これは「自分を真ん中にして閉じていく世界」だと思ってます。AIは自分に合わせてくるので快適だし深まっていく。発散はしない。

ここでちょっと厄介なことに気づきます。

秘伝のたれとして蓄積してきたものは資産ですが、同時にエコーチェンバーの燃料でもあります。自分に都合のいい情報だけで仕込まれた濃い出汁で、自分に合わせたアウトプットを受け取り続ける。蓄積するほど快適になるし、蓄積するほど客観性を失うリスクも高まる。資産とリスクが同じものの表裏になっているんですよね。

解決策として人間との対話を置いているわけですが、正直それで十分なのかどうかは自分でもまだわかりません。

クライアントとのミーティング、展示会、店舗訪問、ポッドキャスト。これらは確かに閉じた世界の外から情報が入ってくる機会なんですが、人間との対話で得たものもまた、自分のフィルターを通って秘伝のたれに入っていきます。つまり外の刺激も最終的には閉じた世界に取り込まれてしまう構造があるわけです。

それでも続ける意味があるのは、取り込まれる前に、AIでは絶対に出てこない角度の話が差し込まれるタイミングがあるからです。前述の大内さんとの対談で「これから楽しくなる」という感覚を得たのがまさにそれ。そのときに秘伝のたれが一度かき混ぜられるというか、閉じた世界を腐らせないために必要な行為なんだと思います。

自分を真ん中にして閉じていくAIの世界と、外から差し込んでくる人間の世界。完全な解決策ではないですが、両方を行き来することで、エコーチェンバーに沈み込むのを遅らせることはできている気がします。

冷静に考えたら、変わっていなかった

最初に書いたようにAIと自動化路線の話題を見ているうちに、焦っていたんだと思います。

周りが見えなくなっていた。

冷静に振り返ると、自分の考えは何も変わっていませんでした。誰に何を伝えるか、そのために人間から引き出す。結果を出してお金をいただく。この軸はずっと同じです。AIはその延長線上に自然に組み込まれた対話相手でした。

違うのは、その軸に沿ってやっていることが、効率化されて質も上がっているということです。今までと同じことをやっているようで、できることの幅と精度が変わっている。それがAIを使うことの本当の意味だったと、このサイクルを回しながら気づきました。

みんながやっていて、それがすごいことだと焦るんですが、自分がどうしたいのか?を振り返っていくと自分なりのAI活用法が分かってくるかもしれませんね。

毎日堂

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カテゴリー: AI